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写真1 近景イラスト-1

写真2 近景イラスト-2

写真3 仏生山-1

写真4 仏生山-2

写真5 仏生山温泉
※本寄稿は2010年6月15日に掲載したものです。現在の活動と異なる場合がございます。

仏生山まちぐるみ旅館とは
楽しいと思えるまちに暮らしたい。
楽しいヒト。
楽しいコト。
楽しいモノ。
それぞれが自然とあつまり、いろいろな楽しいできごとが生まれ続けているようなまち。
暮らしてみて楽しい、行ってみて楽しい。
そういう誰もが楽しいと思える普遍的な魅力のあるまちにしたい。
これから始めようとしている「仏生山まちぐるみ旅館プロジェクト」は、そんな楽しいまちにしていくための一つの「きっかけ」になればと思っています。
仏生山まちぐるみ旅館はちょっとユニークなプロジェクトです。普通の旅館はひとつの建物にいろんな機能が幕の内弁当のようにぎっしりつまっていますが、まちぐるみ旅館は旅館という建物が無くて、旅館の機能である客室や飲食店、浴場、物販店などがまちの中に点在しています。旅館の範囲はまち全体ですから、道は廊下のような感じになります。そこではそれぞれのお店が旅館というネットワークで繋がっています。

仏生山町は瀬戸内、香川県高松市の中心から南へ約10kmほどのところにある、少しだけ歴史的な雰囲気の感じられる門前町です。旧高松藩の菩提寺である法然寺を中心とした1kmほどの街道に今では40軒ほどの町家が点在しています。町家は家主からお借りして1つの建物が旅館としての1つの機能になるように改修していきます。飲食店、物販店など新しくお店を誘致したり、もともとまちにある既存店、例えば仏生山温泉は旅館の大浴場になるなど、まち全体で旅館というやわらかいネットワークで結ばれた状況をつくります。

現在は仏生山商工振興会などまちのみなさんと協力しながら、2010年末頃の開業にむけて準備を進めています。最初はほんの数軒からスタートします。10年かけて少しづつ魅力あるお店を増やしていきたいと思っています。
 
 
旅館はまちに魅力や価値をつくるシステム
まちを旅館に見立てることでいろいろな魅力や価値、それにともなう楽しいことが起こり始めるのではないかと思っています。滞在客にとっての起点となる客室は旅館として「はなれ」「一棟に一組の宿泊」という魅力を自然に備えています。客室もふくめてすべての機能がまちのなかに点在しているため、自然に滞在客はまちを歩いて回遊することになります。旅館はまちそのものですから、歩くことで地域により深く触れることができると思います。旅先で出会ったまちの人との会話は楽しいでしょうし、きれいな景色は忘れても出会った人との会話はずっと思い出に残っていたりすると思います。

まちではいろいろなお店に立ち寄ることでにぎわい感が生まれます。滞在客からの新しい視点を得ることで普段住民が気付いていないまちの魅力の掘り起こしに繋がるかもしれません。
客室も飲食店も物販店も単独では旅館として機能しませんから、お互い何かがたりない状況になっています。そこは新規で出店できる可能性の部分でもあり、まちのお店がお互いに良いお店を気持ちよく紹介し合えるような関係を築くこともできます。もともとあるまちの魅力としての神社仏閣、温泉や里山などの自然環境も旅館の魅力として取り入れることができます。小さな魅力もネットワーク化することでまとまった魅力となり滞在客からも地元客からも愛される地域になることでしょう。
 
きっかけづくり
まちぐるみ旅館というシステムはまちの魅力づくりのための「きっかけ」です。「きっかけ」をつくることによって、さらに魅力的な店舗に出店してもらい、それを求めて人が訪れるというプラスの循環をつくることを目的としています。
かといって、観光地化して大量消費を求めているわけではありません。人の体が健康であるためには適切な運動が必要であるように、まちに最小単位の経済が成り立つようにする。肥満な状態を求めず、まちとして健康な状態にすることが必要だと考えています。

本来であれば外から来る滞在者と、まちに暮らす住民とは利害関係が一致しないのが一般的です。まちぐるみ旅館では両者がお互いに心地よいと思えるような「点」を模索しながら身の丈に合ったまちづくりを進めていこうと思っています。
まず最初に旅館の起点となるフロントと客室を運営する組織をまちに設けます。フロントは宿泊だけでなく、まちや地域の案内所であり、旅のコンシュルジュでもあります。飲食店や物販店などはプロジェクトの初期においては数店を誘致します。もちろん誰でも出店できますし、まちにプラスの循環が始まれば、さらに出店しやすくなります。建物としての旅館がないため物理的な境界もなく、さまざまな形態で誰でも参加できるオープンな取り組みです。

持続可能なまちづくりとは、まちを事業としてとらえて経営するシステムが必要となります。そのひとつの方法として、まちの住民がそれぞれ利益を得ながら、かつまちづくりにも直接的に繋がっていく形態があるのだと考えています。小さな事業者の集まりであるまちぐるみ旅館プロジェクトにはその可能性があるのではないかと思っています。
仏生山の取り組みがうまくいき、誰でも真似できる簡単で持続可能な地域づくりのモデルケースとなって、いろいろな場所でいろいろなまちぐるみ旅館が発生して、楽しいまちがどんどんできる。そんなことになればとても嬉しく思います。
 
 
10年がかりで
楽しいまちになるためには時間が必要です。プロジェクトの初年度は客室3室、飲食店2店に温泉を含めた既存店という小規模なまちぐるみ旅館からスタートする予定です。毎年2〜3棟程度増やし、10年後には魅力的なお店が数十軒集まるようなまちになればと考えています。
まちが楽しいと思えるようになるためには店舗などの魅力要素や環境が整うだけでは不十分です。私たちまちの住民の意識が変化すること、ほんとうに誇りを持って楽しいまちだと思えるようになることが最終的な着地点だと考えています。10年は私たち住民の意識が変わるための時間です。



(第2話へつづく)

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